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Boys Don't Cry

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[邦題:ボーイズ・ドント・クライ]

性同一性障害で、肉体的には女性だけど心は男性であったブランドン・ティーナが
ヘイトクライムの犠牲になって殺害された実話の映画化。

1999年にアメリカで公開されて、翌年アカデミー賞でヒラリー・スワンクが主演女優賞を取って
日本で公開されたのは、その数ヶ月後の夏。
私は公開前にサンフランシスコに語学留学したので映画館で観れなくて
確か帰国後レンタルビデオで観たんだと思います。

半年過ごしたサンフランシスコでは、セクシャルマイノリティが市民権を得ていて
みんな自分の性的アイデンティティを隠す必要がなく、自分らしく幸せそうに生きてたし
私も元々全く偏見を持ってなかったので
同じアメリカであっても、保守的な田舎(この映画ではネブラスカ州)では
こんなに差別されて殺されたりもするのかと、非常にショックを受けました。

特に、男友達2人が「こいつは本当は女じゃないのか」と確かめるために
無理やり下着を脱がせたり、挙句レイプまでするという人間の所業とは思えない暴行シーンが辛すぎて
良い映画だけど、あまり何回も観れないなと思った。
でも10年経って、久しぶりにレンタル店で見かけて借りてみました。

ブランドンは髪を刈り上げて男性の格好をして、周りからも普通に男性だと思われてるけど
最初はやっぱり女性が男装してるようにしか見えなくて
「これで周りがみんな騙されてるっていう設定は無理があるな」と思ったけど
だんだん男性にしか見えなくなってきてすごかった。
ヒラリー・スワンクが主演してなかったらこの映画は成立しなかったと思います。

最初の方で、ブランドンが生理になって
「あぁまた来やがった」みたいな嫌そうな表情をするところがあってハッとした。
確かに、自分は男性なのに毎月生理が来て対応しなければならないなんて
違和感と嫌悪感でいっぱいで、ものすごく苦痛に違いない。
胸をさらしで巻いて隠したりとか、そういう表面的なことだけじゃなくて
生理のことまで掘り下げた細かい視点に感動しました。

クロエ・セヴィニー演じるラナと恋に落ちる過程は
いかにも20歳くらいの若い子の恋愛っぽくて、可愛くて微笑ましい。
ブランドンが軽犯罪で捕まって女性用の留置所に入れられて
迎えに来たラナに「実は両性具有なんだけど、手術する予定だから・・・」とごまかした時も
ラナは「あなたが何であろうと、半分サルだったとしても好き」と言ってたくらいだし
2人にお金があれば、さっさと性転換手術も出来たし
殺される前に都会に逃げて幸せになれたのに、と思って辛くなりました。

この映画に出てくる人は全員ホワイト・トラッシュで
アメリカのどんづまりみたいな田舎で、学歴も仕事もなく底辺の生活をしていて
それなのに銃だけは持っていて、無知による差別が原因で人が撃たれて死ぬ。

そういう陰湿な殺人事件が起こるのは圧倒的に都会より田舎が多いけど
あれだけ広くて人口が多い国で、州ごとに法律も違うし
簡単に改善できそうにないのも悲しいことです。

余談になるけど、有名私立大学では学生の人種の比率を一定に保つために
マイノリティ(黒人とかヒスパニック系とか)だと、特別優秀じゃなくても奨学金を出して入学させるけど
白人は元から生徒数が多いので、よっぽど優秀じゃないと奨学金は出してもらえないそうです。

話を映画に戻して、この映画は低予算で無名の俳優のみで製作されたのに
芸術性もテーマも優れた名作である以上に
教育上の意味で非常に重要な意義のある映画で、学校で生徒に見せたりすればいいと思う。

2008年のフジテレビのドラマ「ラスト・フレンズ」で上野樹里が性同一性障害の役を素晴らしく演じて
障害の認知に一役買った功績は大きかったと思うし
日本の芸能界ではオネエ系が普通に活躍できるようになったとは言え
まだまだ一般社会では、セクシャルマイノリティの人は生き辛いと思うので
もっともっと認知が広まって、差別・偏見が減ることを祈るばかりです。
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by amica_bambina | 2011-09-12 15:38 | Films "B"
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