[邦題:死ぬまでにしたい10のこと] 2回目観てみました。 1回目よりさらに感動的だった。 「なんで死ぬ前にやることのリストの中に、『他の男と寝てみる』」と『誰かを恋に落ちさせる』があるのか」、 「あんな良い夫がいるのに、この女は自分のことしか考えてない」とか「何で不倫する必要があるのか」という意見が IMDbや日本人が書いた感想にも多く見受けられる。 私も初めて観た時はちょっと「えー?」と思ったけど、今回観てみて、全然悪いと思わなかった。 だって17で初めて付き合った人と出来ちゃった結婚して、19で2人目出産して、 旦那は仕事が続かなくて常に失業中で、仲の良くない母親の裏庭のトレーラーハウスに住んで 深夜に大学を掃除する仕事してるなんて、全然いい人生じゃない。 自分は大学にも行けず、17歳からずっと子育てと仕事だけして、 旦那は良い人だし2人の娘も可愛いけど、決して満足な暮らしではなく 心の底では不満とか虚無感を感じ続けてきたはず。 そういう23歳の女の子が、そのうえ「ガンで数ヵ月後に死ぬ」って言われたら そりゃー死ぬ前に冒険したり、1つくらいいい思いしたいと思うでしょ。 他に自分にどんな人生の可能性があったのかとか 旦那以外の誰かと出会って恋に落ちる可能性があったのかとか そういう夢を見るのが当然でしょ。 それに、死ぬって分かってもヤケになって家族や仕事から逃げたりせず まずは夫と娘達のために自分の代わり(新しい奥さん/ママ)を見つけることや 娘達が18歳になるまで毎年バースデーメッセージを録音したテープを作ることを優先してたし 駆け落ちしたりもせず、冷静に毎日家に帰ってちゃんと家族の世話をして 最後まで家族と一緒にいて、妻や母親としての責任は充分果たしていた。 そのうえで少し別の人生を味わってみても何の罪もないことだと、私は思いました。 その別の人生を、短い時間一緒に体験することになるリー(マーク・ラファロ)がものすごく素敵な人。 旦那がいかにも「ブロンドでちょっとマッチョで歯の白い爽やかな白人」という中身のなさそうなタイプなので マーク・ラファロの深みのある落ち着いたキャラクターがより魅力的に見える。 誰でも、どうせなら死ぬ前にあんな人と恋愛してみたいと思うだろうし、 「My body hurt thinking you weren't gonna come. 」とか言われてみたいと思う。 今まで死んだように生きていた人が、死を前にした時に初めて自分の人生を生きなければと分かって その時に出会ったリーのような人とクラシックな恋に落ちるという、 まぁある意味「マディソン群の橋」的なフェミニズムな映画ではあるけれども 死の描き方、人生の描き方がスペイン人監督らしく珍しい見せ方だし、 きちんと共感できるようにしっかり作られていて、映像も美しい、個性的な良い映画です。
by amica_bambina
| 2009-03-15 00:17
| Films "M"
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