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"I know why you dined my sister."

今までも書いてきましたが、Mナイトシャマランの映画はホラーとして宣伝されてしまって
でも実は全然違うとこに主題があって、それが見えないアホがこの世に多すぎて悲しいものです。
このThe Villageも、シャマラン自身が
「ホラーやサスペンスとしてではなく、時代物の恋愛映画だとして宣伝しておけば・・・」と
後から悔やんでいたらしい。
というわけで、この映画がどれほど素敵な恋愛映画であるかをここに紹介いたします。

まず、盲目のヒロイン、アイビーの姉が寡黙で真面目なルーシャスにふられます。
その数シーン後、知的障害のあるノアと丘をかけっこしてきたアイビーが
幼馴染のルーシャスに「なぜ姉をふったか知ってるわよ」と言うシーン。




一言もしゃべってないのになぜ自分がここにいるのが盲目の彼女に分かるのか、驚くルーシャスに
アイビーは「かすかに色を持っている人がいるの。私のパパも。あなたが何色かは教えない」と
可愛いことを言います。
それに対して「・・・男みたいによく走るね」とボソっとつぶやくルーシャス(笑

この短いやりとりだけでも、観客はこの2人を好きになってしまうほど
シャマランの書くセリフや人物描写は魅力的。

姉をふった理由は、要は「姉じゃなくて私のことが好きだから」だとアイビーは気づいているんですが
気づいてる理由が「子供の頃は手を引いてくれたのに、突然私に触れなくなった」からという
なんとも美しい理由。
こんな繊細な心情を表現した映画は他にないでしょ、アメリカには確実にない!

ルーシャスはアイビーを女性として意識し出してから手を触れていないというのが分かった後、
Those who we don't speak of(村の周りの森に棲む謎の生物)が村に襲撃に来るシーン。




アイビーは絶対にルーシャスが自分の無事を確かめに来ると信じてドアを開けて待つ。
ギリギリのタイミングでルーシャスが現れて、何のためらいもなくアイビーの手を引く!
ここで初めてアイビーへの気持ちを表に出したわけです。

触れられないことで愛されていると悟ったアイビーが、
今度は初めて、手を握られたことによって愛されていることを再確認したという美しいシーン。
言葉は一切なくて、手だけでわかるというのが素晴らしい。
音楽も素晴らしくてスローモーションも綺麗だし、素敵なシーンです。

それにしてもこの映画のホアキン・フェニックスは最高!!
他の映画でも、サインやクイルズの「寡黙で真面目で不器用」系のホアキンが大好きな私ですが
真のヒーローはこうじゃないとね。
アメコミのヒーローとかじゃなくて、本当に真のヒーローっていうのはこういうものであって欲しい。

アイビー役のブライス・ダラス・ハワードがメイキングで言ってたんだけど、
主要キャストが昔の生活を知るために農場で自給自足の生活体験をしてた時に
今までほとんど話しかけてこなかったホアキンが、ある日突然
「ブライス、あの・・・これ君のために作ったんだ」と言って「Ivy」と彫られた杖をくれたそうです。
かっこよすぎる・・・

そんなホアキン・フェニックスが俳優業を引退して音楽活動に集中すると発表してしまって
映画界にとっても私的にもかなり大きな損失。
もうホアキンを映画館で観れないのかぁ・・・

話が逸れましたが、この映画は他にも美しいシーンがいくつもあり
またエンディングがシンプルで最高です。
人間の美しさ、強さ、純粋さに心を打たれる映画。
だからサインにおいて宇宙人が出てこようが来なかろうが関係ないように、
この映画においても謎の生物はどうでもいい要素なんですね。
by amica_bambina | 2009-01-15 23:11 | Favorite Scenes
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